交通事故でもらえる慰謝料は、定額ってホント?

交通事故は被害者本人のみならず、家族の生活にも大きな影響を与えます。一家の大黒柱が事故にあった場合はなおさらです。そんな時気になるのは、どのくらいの金銭的な補償が受けられるか、ということ。交通事故で発生する慰謝料は、被害者の状況によって定額化されています。

慰謝料が定額、とはどういうことか説明していきます。また慰謝料が増減するケースについても紹介します。

交通事故の慰謝料を定額化する理由は?

交通事故は日本全国で、毎年約50万件近く発生しています。すべての交通事故について、加害者と被害者がいて、事故の状況や被害者の家族構成などは、それぞれのケースによって異なります。さらに事故によるケガでどの程度の苦痛を感じるか、社会生活にどのくらい支障が出るかは、主観的な要素が大きいものです。

被害者ごとに苦痛を評価して慰謝料を支払うことが理想ですが、膨大な件数が発生する交通事故では個別対応は難しいのが現状です。交通事故の慰謝料請求に、できるだけ早く適切に対応できるように、慰謝料はある程度定額化されています。

慰謝料を計算する基準として、治療のための入院期間や事故後の障害の程度といった、客観的な指標が使われます。客観的な指標を基準にすることによって、数多くの慰謝料請求を可能な限りスピーディーに行うことができます。

また、同じようなケガには同じような慰謝料が支払われるようになり、慰謝料請求ごとのブレを少なくすることもできます。事故によって受ける被害は、人によって異なるものです。例えば足の骨折というケガを考えてみましょう。

椅子に座って労働可能な職業の人と、スポーツ選手では、ケガによって受ける精神的苦痛に大きな差があります。しかし、すべてのケースについてこのような精神的苦痛の大小を評価していては、慰謝料が支払われるまでに長い時間がかかってしまいます。

慰謝料の定額化は、迅速に補償を受けるために必要な制度なのです。

交通事故の慰謝料には3つの種類がある

交通事故の慰謝料は、被害者の状況によって分けられています。傷害慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3種類です。傷害慰謝料は、治療のために通院・入院した場合に支払われます。入通院慰謝料とも呼ばれます。後遺障害慰謝料は、事故によるケガのために後遺症が残った場合に請求できる慰謝料で、被害者の障害の程度によって等級が決められています。

被害者が死亡したケースについては、死亡慰謝料が遺族に対して支払われます。これに対して、被害者本人ではなく近親者に慰謝料が認められる場合もあります。被害者が事故の後遺症によって、全面的な介護が必要な状態になっているならほとんどのケースで、近親者も慰謝料を受け取ることができます。

受取額は、被害者本人の慰謝料や、被害者と近親者の関係などによって変わります。基本的な事ですが交通事故の慰謝料は、人身事故の場合のみ発生します。物損事故の場合には、慰謝料は発生しません。

傷害慰謝料について

交通事故の障害慰謝料は、事故によるケガで病院に通ったり、治療のために入院したりした際に発生します。どのくらいの期間通院・入院していたかと、ケガの状態によって基準の金額が決まっています。治療期間が短いよりも長い方が慰謝料の額が上がります。

また同じ治療期間なら、通院よりも入院の方が金額が高くなります。病院に支払った治療費や、通院のための交通費、仕事を休んだことによる損失などは、慰謝料には含まれていません。これは事故によって実際に発生した費用、もしくは得るはずだった収入の喪失なので、損害賠償として別に請求することになります。

慰謝料は、交通事故の被害によって生じた精神的苦痛に対して支払われるもので、両者は別物です。

後遺症慰謝料について

後遺症慰謝料は、交通事故によるケガが治療をしても治らず、後遺傷害が残った場合に発生する慰謝料です。等級という、傷害の程度を表すランクに応じて金額が決まっています。等級の数字が小さい、等級が高いほど慰謝料は高くなります。

1級~14級までの等級が存在し、等級がひとつ違うと慰謝料の金額も大きく変わります。

死亡慰謝料について

交通事故が原因で、被害者が死亡してしまった時に発生する慰謝料です。死亡した被害者の年齢や収入、家族状況によって金額が決められています。一家の大黒柱である場合は、独身者よりも慰謝料が高くなります。また、高齢者や未成年は独身者よりもさらに慰謝料の金額が低くなります。

慰謝料は増額されるケースがある!

交通事故の慰謝料は、いくつかの指標によって定額化されています。しかし、定額の慰謝料が増額される場合もあります。慰謝料が増額されるケースとして代表的なのは、事故の内容が悪質な場合です。加害者が飲酒運転や無免許運転をしていて、明らかに危険な運転をしていたと認められるケースなどが当てはまります。

また、大幅なスピード超過や信号無視など、交通規則違反の場合にも、慰謝料が上がる可能性が高くなります。また事故後に加害者が一切謝罪をしなかったり、同乗者に嘘の証言をさせて事故の証拠を隠そうとしたりした場合、加害者の対応の悪さから慰謝料に影響が出ることもあります。

交通事故によるケガや障害によって、被害者の生活に大きな影響が出た場合にも慰謝料が増額されるケースがあります。事故が原因となる離婚や結婚の破談、学校の入学取り消しや退学、留年などがこれにあたります。事故によって精神状態が不安定になり、家族との関係が悪くなることも少なくありません。

この精神的損害を慰謝料でカバーするための増額です。交通事故が原因で死産や流産した場合も、増額されるケースがほとんどです。交通事故の影響は被害者本人だけではなく、近親者にも及びます。事故によるケガのショックや、重度の障害の介護負担などで、近親者が精神的疾患を患った場合にも、慰謝料が増額されることがあります。

その他にも、様々な要因で慰謝料は変動することがあります。

慰謝料が減額されるケースもある!

交通事故によるケガの程度が軽いと、傷害慰謝料は減額されることがあります。痛みやしびれなどしか主張できない場合は、減額される可能性が高くなります。また通院の回数が少ない時にも減額されることがあります。また被害者がもともと患っていた持病が、事故によるケガの治療に影響を与える場合があります。

被害者の持病が原因で、ケガの治療が長引いたケースでは、慰謝料が減額されることがあります。被害者側が原因となる減額のケースとしては、適切な入通院を行わなかったために治療が長引くことが挙げられます。交通事故のケガの治療は、医師の指示に従って適切に行いましょう。